イジワル上司にまるごと愛されてます
「今日も一日お疲れさま」
「お疲れさまです」

 来海はカクテルを一口飲んだ。カシス娘はカシスの風味がしっかりしていて口当たりが甘く、とても飲みやすい。

 部長は日本酒を口に含み、おいしそうに息を吐き出した。

「それにしても、先月はとても好調だったな。春のインテリアフェアで売上が前年同月比で十パーセントアップだ。うちの企画もよかったが、総合販売部の売り方も功を奏したな」

 部長は言って、枝豆を口に入れた。

「総合販売部の部長がやり手だそうですね」

 柊哉の言葉に部長がうなずく。

「おまけに超絶イケメンときたらモテないわけがない。貿易管理部の美人主任と付き合っているらしいぞ」
「そうなんですか」

 柊哉は日本酒のグラスに口をつけた。部長は焼き鳥を食べながら柊哉を見る。

「それはそうと、キミはどうなんだね、雪谷課長」
「えっ」

 柊哉はグラスを置いて部長を見た。
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