イジワル上司にまるごと愛されてます
(柊哉は好きな女性をロンドンに残してきたんだ……)
来海は胸が締めつけられるように苦しくなった。
「好きな女性……って」
隣で敦子が驚いて声を発した。敦子の様子を気に留めることなく、部長は来海に問う。
「で、七瀬主任は?」
「えっ?」
「付き合っている相手はいるのかね?」
突然話を振られて、来海は部長を見た。部長はなにかを期待するような眼差しで来海を見ている。
(なんで上司と飲み会でこんな話になってるんだろう)
まるで女子会のようなノリになってしまい、来海は曖昧に微笑んだ。
「月並みですが、今は“仕事が恋人”なんです」
それで話を収めたかったのに、部長はグラスを持ち上げながら楽しげに笑う。
「それなら、そんなことを言わずに、雪谷課長はどうだい? 同期で独身同士じゃないか。今まで二人ともが独身で残っていたのは、運命だと思うんだけどもなぁ」
今日の部長はやけに部下に絡んでくる。来海は、柊哉がどんな表情をしているのだろうかと視線を動かしたら、彼も困った顔をしていた。
(それはそうだよね。木下主任だっているし、こんな飲み会の席でプライベートにかかわる話をされたら……)
来海は胸が締めつけられるように苦しくなった。
「好きな女性……って」
隣で敦子が驚いて声を発した。敦子の様子を気に留めることなく、部長は来海に問う。
「で、七瀬主任は?」
「えっ?」
「付き合っている相手はいるのかね?」
突然話を振られて、来海は部長を見た。部長はなにかを期待するような眼差しで来海を見ている。
(なんで上司と飲み会でこんな話になってるんだろう)
まるで女子会のようなノリになってしまい、来海は曖昧に微笑んだ。
「月並みですが、今は“仕事が恋人”なんです」
それで話を収めたかったのに、部長はグラスを持ち上げながら楽しげに笑う。
「それなら、そんなことを言わずに、雪谷課長はどうだい? 同期で独身同士じゃないか。今まで二人ともが独身で残っていたのは、運命だと思うんだけどもなぁ」
今日の部長はやけに部下に絡んでくる。来海は、柊哉がどんな表情をしているのだろうかと視線を動かしたら、彼も困った顔をしていた。
(それはそうだよね。木下主任だっているし、こんな飲み会の席でプライベートにかかわる話をされたら……)