イジワル上司にまるごと愛されてます
来海は残っていたカクテルをぐいっと飲み干した。
「あー……すみません、私、飲み物を頼みます」
そうして戸襖を開けて、「すみませ~ん」とことさら大きな声で店員を呼んだ。
「はい」
やって来た若い男性店員に来海はウーロン茶を注文して、個室の中を見回す。
「ほかに注文される方、いませんか?」
「私は日本酒をもう一杯。それから……」
部長が料理の追加注文を始め、来海は店員の横をすり抜けてトイレに向かった。女子トイレの中で一人になり、鏡に向かって大きなため息をついた。
カシス娘は飲みやすかったが、思ったよりもアルコール度数が高いらしく、頭と足元がふわふわしている。
(はぁ。部長ってばなんてことを言い出すんだろう……。今まで二人が独身でいたことが運命って……どれだけロマンチストなの)
独身で同期で残りもの同士という理由でも、柊哉と付き合えたらどんなにいいか。けれど、彼はロンドンに好きな女性がいるらしい。
来海がほてった頬に両手を当てたとき、女子トイレのドアが開いて、敦子が入ってきた。敦子は来海の隣に並ぶ。
「あー……すみません、私、飲み物を頼みます」
そうして戸襖を開けて、「すみませ~ん」とことさら大きな声で店員を呼んだ。
「はい」
やって来た若い男性店員に来海はウーロン茶を注文して、個室の中を見回す。
「ほかに注文される方、いませんか?」
「私は日本酒をもう一杯。それから……」
部長が料理の追加注文を始め、来海は店員の横をすり抜けてトイレに向かった。女子トイレの中で一人になり、鏡に向かって大きなため息をついた。
カシス娘は飲みやすかったが、思ったよりもアルコール度数が高いらしく、頭と足元がふわふわしている。
(はぁ。部長ってばなんてことを言い出すんだろう……。今まで二人が独身でいたことが運命って……どれだけロマンチストなの)
独身で同期で残りもの同士という理由でも、柊哉と付き合えたらどんなにいいか。けれど、彼はロンドンに好きな女性がいるらしい。
来海がほてった頬に両手を当てたとき、女子トイレのドアが開いて、敦子が入ってきた。敦子は来海の隣に並ぶ。