イジワル上司にまるごと愛されてます
 柊哉にこんなふうにされている理由はわからない。けれど、好きな人に与えられるキスに、心は自然と熱を帯びる。

 柊哉は唇を離して来海の額に自分の額を当てた。彼の頬は上気していて、目は怒りをたぎらせていた。

「来海が俺とこんなことをしたって知ったら、そいつ、どうするだろうな」
「……え?」

 来海はぼんやりと柊哉を見た。柊哉の大きな手が頬を撫でるように耳へと滑り、その愛おしむような仕草に、来海は思わず彼の手に頬を寄せた。

「来海が俺とキスして、そんなとろけそうな表情をしてるって知ったら――」

 柊哉はギュッと眉を寄せ、片手を来海のブラウスのボタンに手をかけた。一つずつ外しながら、来海の首筋に口づけた。その柔らかな刺激に、来海の肩がビクリと震える。

「しゅ、柊哉こそ、なんで……」

 ブラウスの前をはだけられ、鎖骨に柊哉の唇が触れた。反射的に両手で柊哉の肩を押そうとしたら、手首を掴まれてラグに押しつけられる。

「……っ」

 柔らかな肌をついばむようにキスされて、そこから熱がカァッと広がっていく。
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