イジワル上司にまるごと愛されてます
「ど……して、こんな」

 柊哉の唇に与えられる刺激に、来海は鼓動がどんどん激しくなり、息が上がる。

「なんでなんだよ」

 背中のホックが外され、下着を押し上げられて、来海は息をのんだ。

「俺は……来海に幸せになってほしいと思ったんだ。それなのに、来海を幸せにできないような男と付き合っているなんて」

 胸の膨らみにチリッとした痛みが走り、来海は小さく悲鳴を上げた。

「ひゃっ」
「こんなことなら、四年前、無理矢理おまえを奪っていくんだった」
「え、な……意味が……わからない……」

 柊哉は来海の腰に両手を回して抱き寄せた。

「もう遅いのか? 来海の心の中に、俺の居場所はまったくない……?」

 目の前の柊哉の顔は苦悩をたたえて悲しげだ。

「なんで……そんな顔をするの……? 四年前に私を振ったのは柊哉の方じゃない」

 柊哉は来海の肩に顔をうずめた。

「本当はロンドンに来海を連れて行きたかった。だけど、来海が『日本でがんばる』って言うから……水沼部長に来海は『日本でフィーカを支える大切な人材になる』って言われてたから……俺の勝手な感情で来海を連れて行ったらいけないと思ったんだ。だから、自分に言い聞かせた。来海は俺が女だと思っちゃいけない相手なんだ、忘れなければいけない相手なんだって……」
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