イジワル上司にまるごと愛されてます
 柊哉の表情は安堵したようでありながらも、どこか不安のようなものを感じさせた。それは来海も同じだ。幸せすぎて実感が湧かない。

 来海は両手を伸ばして、柊哉の頬に触れた。そして、その存在を確かめるように頬を包み込んだ。張りのある男性らしい肌に、本当に目の前に彼がいてくれているのだ、と思う。嬉しくてどうしようもなくて、彼の頬を引き寄せ、そっとキスをした。彼の唇は柔らかくて温かくて……そしてなにより愛おしい。

「好き。大好き」

 柊哉はギュッと眉根を寄せた。

「ヤバイ……。その顔でこんなことされたら……」
「え?」

 柊哉は来海の右手を取って、耐えるように手の甲に唇を押しつけた。

「優しくしようと思うけど……ダメだ、抑えが利きそうにない」

 柊哉の悩ましげな表情は色気すら感じさせ、来海の背筋がゾクリと震えた。

「え、でも、私っ、初心者だから……っ」

 来海の言葉を柊哉はキスで遮った。
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