イジワル上司にまるごと愛されてます
「来海が俺に火をつけたんだ」

 柊哉の瞳に熱情が宿り、来海は小さく息をのむ。野性的で男っぽいのに色気があって……胸を射貫かれる。

「だから、覚悟して」

 耳もとで低くささやかれ、昨晩の記憶が一気に蘇り、来海の心も体も熱くなるのだった。



 そうして再び濃密な時間を過ごしてから、ようやくローテーブルで朝食を食べることになった。

「冷蔵庫にこれだけ食材があるってことは、来海はちゃんと料理してるんだな」

 そう言って柊哉は、ベーコンとほうれん草のソテーとスクランブルエッグを作ってくれた。トーストとコーヒーと一緒にローテーブルに並べて、二人で「いただきます」と手を合わせる。

 スクランブルエッグはふわふわで、ほうれん草のソテーはバターの風味とベーコンの塩味が利いている。

「わ、おいしい! 柊哉も料理するんだね~」

 来海は左手を頬に当てながら言った。柊哉は得意そうに笑う。

「当たり前だ。ロンドンでは男三人でルームシェアしてたんだから」
「あ、そうだったね。尚人が言ってたよ」
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