イジワル上司にまるごと愛されてます
 来海は首を傾げて柊哉を見た。

「茉那のスタイを買いに行くって約束した日、二人ともドタキャンしただろ?」
「うん」
「あれ、わざとなんだって」
「えっ」
「俺と来海が二人きりになるように、尚人と雄一朗が示し合わせてドタキャンしたらしい。次の日二人に言われたよ」
「えー……」

 お節介な二人の、してやったり、と言いたげな表情を想像して、来海はただもう苦笑するしかなかった。



 朝食後、来海が出社の準備をする間、柊哉はいったん帰宅した。そうして着替えた彼と再び駅で落ち合って、一緒に会社に向かった。

 オフィスビルのエントランスに入ったところで、後ろから水沼部長に声をかけられる。

「おはよう、雪谷くん、七瀬さん」
「おはようございます」
< 132 / 175 >

この作品をシェア

pagetop