イジワル上司にまるごと愛されてます
「俺は雪谷柊哉。同い年なんだし、もっと気楽にしゃべってくれていいよ」

 イケメンにそんなふうに言われて、来海ははにかみながらうなずいた。

「あ、うん。ありがとう」
「入社式?」
「うん。フィーカの」
「ってことは合格したんだ。よかったね」
「おかげさまで。雪谷くんは?」
「俺もフィーカで働くよ。本社輸入企画部に配属された」

 来海は驚いて声を上げた。

「えーっ、私もだよ」
「えっ、そうなんだ。すごい偶然だな。これからよろしく」

 柊哉はにこっと笑った。笑顔になる彼とは対照的に、来海は不安になる。

「雪谷くんは英語すごくできるのに、どうして私、雪谷くんと同じ部署に配属されたんだろう……」

 やっていけるかどうか心配だ。

 柊哉は首を傾げて来海を見る。

「七瀬さんもちゃんと英語をしゃべってたよ」

 来海は頬を赤らめた。
< 138 / 175 >

この作品をシェア

pagetop