イジワル上司にまるごと愛されてます
番外編一
会議室で柊哉が水沼部長から手渡されたのは、“イギリス支社創設のため、ロンドン勤務を命ず”という辞令だった。
海外への出向を考えておいてほしい、とは前々から言われていたが、新たに支社を創設する、という大役を任されて、柊哉は誇らしさとともに緊張を覚えた。
辞令を渡し終えた部長はテーブルを挟んだ向かい側に腰を下ろし、柊哉に座るよう促した。
「失礼します」
着席した柊哉に部長が言う。
「雪谷くんは入社四年目に海外支社に赴任したいとワークライフプランを立てていたね。だが、キミをイギリス支社創設メンバーに選んだのは、それだけが理由ではない。キミのこれまでの実績と仕事に対する姿勢から、経営陣が今回の大役にキミがふさわしいと判断したからだよ」
「ありがとうございます」
「まあ……ワークライフプラン通りになってよかったんだが、キミはプランでは三年の赴任、と書いていたね」
「はい」
「だが、私たちとしては最低八年は赴任してほしいと考えている。そして、支社長補佐として残ってくれればありがたい」
最低八年、という言葉に、柊哉のこめかみがピクリと動いた。それに目ざとく気づいて部長が言う。
海外への出向を考えておいてほしい、とは前々から言われていたが、新たに支社を創設する、という大役を任されて、柊哉は誇らしさとともに緊張を覚えた。
辞令を渡し終えた部長はテーブルを挟んだ向かい側に腰を下ろし、柊哉に座るよう促した。
「失礼します」
着席した柊哉に部長が言う。
「雪谷くんは入社四年目に海外支社に赴任したいとワークライフプランを立てていたね。だが、キミをイギリス支社創設メンバーに選んだのは、それだけが理由ではない。キミのこれまでの実績と仕事に対する姿勢から、経営陣が今回の大役にキミがふさわしいと判断したからだよ」
「ありがとうございます」
「まあ……ワークライフプラン通りになってよかったんだが、キミはプランでは三年の赴任、と書いていたね」
「はい」
「だが、私たちとしては最低八年は赴任してほしいと考えている。そして、支社長補佐として残ってくれればありがたい」
最低八年、という言葉に、柊哉のこめかみがピクリと動いた。それに目ざとく気づいて部長が言う。