イジワル上司にまるごと愛されてます
「七瀬さんは困る。彼女は日本でフィーカを支える大切な人材になる。アジア・アフリカ地域を担当してもらい、二年か三年で主任に就いてもらうことを考えている。彼女を手放すことはできない。それになにより、彼女が望まないと思うよ。彼女のワークライフプランでは、三十歳で昇進、とある。その通りに、あるいはそれより早くプランが叶うチャンスがあるのだから」
柊哉の表情が沈んだのに気づき、部長は諭すように言う。
「キミたちは二十五歳とまだ若い。明るい未来を台無しにするような選択はしないでほしい、というのが私の考えだ。七瀬さんのことはよく考えてから結論を出してほしい」
「……わかりました」
柊哉は会議室を出て、深いため息をついた。からかうとムキになる顔がかわいくて、ついちょっかいを出してしまう。それでも笑って許してもらえるのは、彼と来海がなんでも話せる気さくな同期、という関係だからだ。
その関係に甘んじていたことを、今さらながら後悔してしまう。
(仕事を辞めて俺について来てくれ……って言ったら、どうするだろうか?)
そんなことを思ったとき、当の来海がわくわくを隠せないと言いたげな明るい表情で近づいてきた。
柊哉の表情が沈んだのに気づき、部長は諭すように言う。
「キミたちは二十五歳とまだ若い。明るい未来を台無しにするような選択はしないでほしい、というのが私の考えだ。七瀬さんのことはよく考えてから結論を出してほしい」
「……わかりました」
柊哉は会議室を出て、深いため息をついた。からかうとムキになる顔がかわいくて、ついちょっかいを出してしまう。それでも笑って許してもらえるのは、彼と来海がなんでも話せる気さくな同期、という関係だからだ。
その関係に甘んじていたことを、今さらながら後悔してしまう。
(仕事を辞めて俺について来てくれ……って言ったら、どうするだろうか?)
そんなことを思ったとき、当の来海がわくわくを隠せないと言いたげな明るい表情で近づいてきた。