イジワル上司にまるごと愛されてます

「ね、これから一緒にご飯食べに行かない？」

（来海は俺のこと、やっぱりただの同期だと思ってるんだろうな……）

　そんなことを考えていると、来海に顔を覗き込まれた。

「柊哉？」

　柊哉はハッとして笑顔を作る。

「あ、うん。行こうか。どこがいい？」
「この前、同期会で行った創作和風居酒屋はどう？」
「ああ、いいね」
「柊哉が選んでくれたお店だけあって、おいしかったよね～」

　そうして、その日の業務を終わらせると、柊哉は来海と一緒に居酒屋に向かった。

　カウンター席で料理や飲み物を注文したあと、来海が口を開く。

「ね、今日、部長に呼ばれてたよね？　私、嬉しいお知らせなんだと思ってるんだけど～」

　柊哉が複雑な気持ちのまま来海を見ると、彼女は心配そうな表情になった。

「どうしたの？　まさか……左遷のお知らせ？　っていうか、私たち平社員だから、左遷もなにもないか」

　柊哉は小さく笑みをこぼした。