イジワル上司にまるごと愛されてます
 柊哉は来海の顔の両横に肘をついて、来海の髪を愛おしむように撫でた。そうしてゆっくりと唇を押しつける。

 手を後頭部に回して彼女を引き寄せ、催促するように唇の隙間をなぞると、来海の唇が小さく開いた。その口内に舌を差し入れ、欲望に任せてキスをする。

「来海」

 柊哉が唇を離し、来海は大きく息を吸い込んだ。

「は……っ……な、に」

 来海の潤んだ瞳を見て、柊哉は小さく微笑んだ。

「息、我慢してどうするんだよ」
「あ、そ、そうだよね……」

 来海は大きく胸を上下させた。彼の手が頬をなぞって首筋から胸へと移動する。ブラウスの上から膨らみを包み込むと、来海がビクリと体を震わせた。

 頬へ、耳たぶへ、首筋へと柔らかくキスを落とすと、来海が甘い吐息をこぼしながら、ギュッとまぶたをつぶった。その上にキスを落として柊哉はふと問いかける。

「なんで、息してないの?」
「っ」

 来海は目を開けると同時に口を開けた。

「ご、ごめっ」

 その仕草に、もしかして、という疑念が湧き上がる。
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