イジワル上司にまるごと愛されてます
肝試しのペアを決めるために全員が集合しているはずなのに、と不審に思った柊哉は、洗い場に近づき、そこに食器や調理器具が山と積まれているのに気づいた。あんなに競って料理をしていた女子社員の誰一人として、後片づけには関心を示さなかったようだ。そしてそれは、そうした女子社員と仲良くなることだけを考えている男子社員も同じだった。
(確かに後片づけなんて面倒だもんな)
柊哉は素通りしようとして、洗い場に人影があるのに気づいた。洗い場の明々としたライトの下、リーズナブルな衣料品ブランドで売られているような水色のパーカーにグレーのスウェットのズボンという目立たない格好をした、平均的な身長に平均的な顔立ちの女性が洗い物をしている。同じ部署の来海だ。
「なんだ、七瀬さん」
柊哉は来海に近づいた。
「あ、雪谷くん」
来海は彼に気づいて手を止め、泡立てたスポンジを握ったまま、パーカーの袖で額の汗を拭った。
「後片づけやってくれてたんだ?」
柊哉は洗い場にもたれて来海を見た。
「うん」
「へー、偉いな。誰もやりたがらないのに」
(確かに後片づけなんて面倒だもんな)
柊哉は素通りしようとして、洗い場に人影があるのに気づいた。洗い場の明々としたライトの下、リーズナブルな衣料品ブランドで売られているような水色のパーカーにグレーのスウェットのズボンという目立たない格好をした、平均的な身長に平均的な顔立ちの女性が洗い物をしている。同じ部署の来海だ。
「なんだ、七瀬さん」
柊哉は来海に近づいた。
「あ、雪谷くん」
来海は彼に気づいて手を止め、泡立てたスポンジを握ったまま、パーカーの袖で額の汗を拭った。
「後片づけやってくれてたんだ?」
柊哉は洗い場にもたれて来海を見た。
「うん」
「へー、偉いな。誰もやりたがらないのに」