イジワル上司にまるごと愛されてます
「二十二歳にもなって恥ずかしいよね。お化けなんているわけないのに。わかってるんだけど、私、小さい頃から恐がりで、いまだに暗闇って苦手なんだ」
今まで気づかなかったが、そうやって恥ずかしそうにする彼女を、柊哉は初めてかわいい、と思った。それと同時に、彼女が研修中に裏方の仕事をやってくれていたことを思い出す。ディベートのために必要な資料のコピー、模擬会議の議事録の作成、さらには差し入れを食べたときの後片づけなど……。
いかにもお局といった風情の口うるさい研修担当者に『どなたか手伝ってください』と言われたとき、最初はいいところを見せようと手を上げていた社員たちも、二日目以降はやりたがらなくなった。
(それを、ほとんど七瀬さんが自発的に引き受けてたんだよな……)
柊哉は来海に問う。
「七瀬さんって、地味な仕事が好きなの?」
「え? 好きとかそんなんじゃなくて……やらないよりはやる方がいいかなって思っただけだよ」
「じゃ、肝試しも『やらないよりはやる方がいい』よな?」
「えっ」
今まで気づかなかったが、そうやって恥ずかしそうにする彼女を、柊哉は初めてかわいい、と思った。それと同時に、彼女が研修中に裏方の仕事をやってくれていたことを思い出す。ディベートのために必要な資料のコピー、模擬会議の議事録の作成、さらには差し入れを食べたときの後片づけなど……。
いかにもお局といった風情の口うるさい研修担当者に『どなたか手伝ってください』と言われたとき、最初はいいところを見せようと手を上げていた社員たちも、二日目以降はやりたがらなくなった。
(それを、ほとんど七瀬さんが自発的に引き受けてたんだよな……)
柊哉は来海に問う。
「七瀬さんって、地味な仕事が好きなの?」
「え? 好きとかそんなんじゃなくて……やらないよりはやる方がいいかなって思っただけだよ」
「じゃ、肝試しも『やらないよりはやる方がいい』よな?」
「えっ」