イジワル上司にまるごと愛されてます
 雄一朗にからかうように言われて、尚人は後頭部をかく。

「だよなぁ」

 尚人がおどけて情けない表情を作り、それを目の端で捉えた柊哉がふっと笑みをこぼした。

(不機嫌そうに見えたのは気のせいかな)

 来海がホッとしたとき、来海たちのテーブルにランチプレートが運ばれてきた。

「お待たせしました」
「わぁ、おいしそう」

 茉那が声を上げ、横のテーブルでは雄一朗がメニューを広げる。

「俺たちも早く注文しよう」

 今や三人の注意はメニューに向いている。

 どうやら来海と茉那の会話は聞かれていなかったようだ。

 来海は安堵しながら、ロコモコ丼プレートをおいしく食べたのだった。 
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