イジワル上司にまるごと愛されてます
来海はカシスオレンジを飲みながら、チラッと左側を見た。敦子が柊哉の方を向いているため、彼女の陰になって柊哉がどんな表情をしているのかはわからない。
「おかえり、雪谷くん。私、前にも言ったと思うけど、ロンドンには学生時代に留学してたのよ」
敦子が親しげに話しかけた。柊哉がロンドンに赴任するまで同様、彼女は柊哉にタメ口だ。対する柊哉も、それまで同様、敬語で答える。
「そうでしたね。赴任前に、お薦めの店をいくつか教えてくれましたね」
「ロンドンに四年もいたんだもの。もちろん全部行ったわよね?」
敦子に問われて、柊哉は申し訳なさそうに答える。
「それが忙しくてなかなか」
「えっ、でも、いくつかは行ったでしょ?」
「ええ、一つは」
「一つって! もう、私がせっかく教えてあげたのにぃ」
「すみません」
敦子は右手で頬杖をつき、柊哉の方に顔を寄せた。
「ね、今は就業時間外だし、敬語、やめてくれないかな?」
「木下主任には四年前まで敬語を使っていたので、なかなか慣れませんね」
「やだぁ。私の方が年上だけど、役職は下なのにぃ」
「おかえり、雪谷くん。私、前にも言ったと思うけど、ロンドンには学生時代に留学してたのよ」
敦子が親しげに話しかけた。柊哉がロンドンに赴任するまで同様、彼女は柊哉にタメ口だ。対する柊哉も、それまで同様、敬語で答える。
「そうでしたね。赴任前に、お薦めの店をいくつか教えてくれましたね」
「ロンドンに四年もいたんだもの。もちろん全部行ったわよね?」
敦子に問われて、柊哉は申し訳なさそうに答える。
「それが忙しくてなかなか」
「えっ、でも、いくつかは行ったでしょ?」
「ええ、一つは」
「一つって! もう、私がせっかく教えてあげたのにぃ」
「すみません」
敦子は右手で頬杖をつき、柊哉の方に顔を寄せた。
「ね、今は就業時間外だし、敬語、やめてくれないかな?」
「木下主任には四年前まで敬語を使っていたので、なかなか慣れませんね」
「やだぁ。私の方が年上だけど、役職は下なのにぃ」