イジワル上司にまるごと愛されてます
「え、だ、誰だっていいじゃない」
「よくない」
「ええっ」
「俺の知ってるやつ?」
「え、やー……どうかな」

 来海は明後日の方向を見た。

「だったら、俺に紹介しろ」
「は? なんで?」
「ちゃんと来海のことを幸せにできる男かどうか、俺が“友達として”査定してやる」
「査定って!」

 とっさに見栄を張ってしまっただけに、そんなことを言われては困ってしまう。

(そもそも、仕事が恋人だったんだから!)

「えっと、あの、会わせられるような人じゃなくて……」
「どうしてだ? まだ付き合いが浅いのか?」
「ううん、浅くはないよ」
「じゃあ、俺に紹介してもいいだろ」
「そうじゃなくて……紹介は……できないの」

 来海は小さな声で言った。今さら嘘でした、見栄を張りました、なんて白状できない。

「まさか……世間的に認められない相手と付き合ってるのか?」

 柊哉の声が低くなり、来海は瞬きをして彼を見た。
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