イジワル上司にまるごと愛されてます
「え?」
「そうなんだな?」
「え、や、あの、別に不倫とか、そういうんじゃ……」
「俺に紹介できないって、そういうことなんだろ? そんなやつと付き合うな。騙されてるんだよ。来海らしくない」

 彼の最後の言葉に、来海の頭にカッと血が上る。

「“私らしくない”ってなによ。私の気持ちなんてなんにも知らないくせにっ」

 来海はつんと横を向いた。顎に柊哉の手が触れたかと思うと、顎を掴まれ、強引に彼の方を向かされる。

「なによっ」

 すぐ目の前に柊哉の顔があった。その距離の近さと彼の眼光の鋭さに、来海の心臓がドクンと鳴った。頬が熱くなるのが悔しくて、同じくらい強い眼差しで彼を見返すと、柊哉が押し殺した声で問う。

「俺のせいか?」
「なにが?」
「四年前、俺が来海を拒否したから、来海はそんなやつと――」

 来海は柊哉の言葉を遮った。

「そんなやつ呼ばわりしないで」
「来海を幸せにできないやつなら、“そんなやつ”だろ!」
「幸せかどうかは私が決める! それにこの四年間、ずっと私の支えだったんだから!」
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