イジワル上司にまるごと愛されてます
「あれ、もう四時過ぎてる。尚人たち、遅いなぁ」

 柊哉は左手の腕時計をチラリと見た。

「ホントだ」
「今どこか訊いてみる?」
「そうしようか」

 柊哉はポケットから黒いスマホを取り出して、「あ」と声を上げた。

「なに?」
「尚人と雄一朗からメッセージが来てる」
「遅れるって?」

 柊哉はアプリをスクロールして、「マジか」とつぶやいた。

「どうしたの?」
「二人とも急用ができたって。ドタキャンかよ」
「えー……」

(柊哉と二人きりなんて……)

 友達だった頃には柊哉と二人でバーベキューの食材の買い出しに行ったり、一緒に飲みに行ったりしたこともある。けれど、今日は四人で買い物に行くつもりにしていたのだ。今から二人きりで出かけるなんて、突然すぎて心の準備ができない。

「あ、じゃ、じゃあ、私、帰るわ」

 来海はスマホをバッグに戻した。
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