ヘタレ狼さんと赤ずきんちゃん
狼さん、こんにちは
茂みから出てきたのは、確かに人間だった。
……狼の耳と尻尾を生やして…だが
拍子抜けした朱奈は、茂みから出てきた人間?に逃げることも忘れて話しかけた。
「あなたは狼?こんな森の中で何をしているの?」
「お、俺は…狼では無い、人間だ。森の中で…えーと、食べるものを探していた」
「……ふ、ふふふふふふ、あーっはっっはっははは、ふふ、その姿でふふふ、人間はあははっ、無理があるわよwwww」
「むっ…おい、笑いすぎだろ!どこをどう見ても人間だろ?」
「いやいや、人間はあなたの頭に生えてる耳や、お尻にある尻尾は無いよ」
「………見なかったことには…」
「いやいや、無理でしょ←」
「だよなぁ…じゃぁ、ちょっと可哀想だけど…」
「でも、内緒にはしてあげてもいいよ」
「 ?」
「みんなに話したら、困るんでしょ?」
「いや、そうなんだけど…」
「じゃぁ、話さないよ!誰にだって、秘密にしたい事の一つや二つはあるもんだよ」
「そ、そうか…ありがとう。助かる」
「いやいや、ダイジョーブ!んじゃ、私急いでるから、行くね」
「ま、待て、赤ずきん」
「赤ずきん?それって、私のこと?」
「お前以外に誰がいるんだ」
「そうだよねぇ〜ww…で、何?」
「い、いや…その……あの…だな…」
「もう!!じれったいな!何?私もう本当に急がないと街まで間に合わないんだけど!!」
「街?」
「そう、街まで行って、おばあちゃんにこれを届けなきゃいけないの」
そう言って、持っていた籠を狼さんに見せる。
「…でも、ここから街までって結構あるぞ?」
「だーかーらー、早くしないとって言ってるのに狼さん私を解放してくれないから!!」
「…良かったら、乗ってくか?」
「????」
「あ、いや、その……内緒にしてくれたら、送ってってやる」
そういうと狼さんは、狼人間から本物の狼になった。モッフモフの格好いい狼になった狼さんはただ一言、「乗れ」とだけ言った。