ヘタレ狼さんと赤ずきんちゃん



しかし、狼さんのお陰でもう街についてしまった。
早い早い…そして、とても助かった。
あのままだと、街に着くのは完璧に夜になっていた。




「狼さん、ありがとう 」



「…赤ずきん、あのさ」



「何?」



「…いや、あのさ…」



「だから何?」



「……」



「はよ言えーい!」



「俺、あの森の奥に住んでるんだけどさ…」



「あ、そうだったんだ」



「…また、会わないか?今度はゆっくり話がしたい」



「なんだ、そんな事か〜。全然大丈夫だよ!私のあの森に家があるしね!」




そう答えると、狼さんは明らかにホッとした顔をした。
…なんだ、そんなにも私と遊びたかったのか?可愛い奴め←



「絶対に約束だぞ!」



「わかったわかった。明後日ぐらいには遊びに行くよ」



「じゃあ、俺戻るから」



狼さんは狼の姿のまま、森の中へ戻っていった。そして、私は体をクルリと街の方へ向け、歩き出した。


おばあちゃん家は、街の入り口から歩いて5分ほどの所にある。おばあちゃんはお菓子屋を営んでおり、ここら周辺では美味しいと評判だ。

実際に私もおばあちゃんのお菓子は大好物だ。
…考えるだけでヨダレが出る…ジュルリ…


おばあちゃんは一人でお菓子作りから、ラッピングや包装、販売まで行っているため、一度私がお手伝いしようかと聞いたことがある。

しかし、私が趣味でやっていることだからと、断られてしまった。結果無理をし続けてしまったおばあちゃんは、今回疲労で倒れてしまったのだ。



私はおばあちゃんの玄関の前に立ち、チャイムを鳴らす。この時間はまだお隣に住んでいるおばさんが家にいるはずだ。



「はい?どなた?…あら、朱奈ちゃんじゃない、久しぶりね」



「真子おばさん、こんにちは!おばあちゃんのお見舞いに来たんです」



そう言って、持っていた籠をおばさんに見せる。



「それは良かった。朱奈ちゃんとこのお母さんの薬は効くのが早いからね!おばあちゃんもすぐ良くなるわね」



「おばあちゃんの様子を見ていただいてありがとうございます!」



「いいのよ、おばあちゃんにはよく子どもたちにお菓子もらったりしてるしね。これぐらいさせて」



「でも、倒れた事も真子おばさんが教えてくれたお陰で知ることができたので…」



「困った時はお互い様よ!じゃ、私も自分の家に帰るわね」




そう言って、真子おばさんは隣の家に入っていった。
入ったのを確認してからわたしもいえに入る。




「おばあちゃーん?こんにちはー、お邪魔するねー!」




そして、おばあちゃんが寝ている部屋へノックをし、入った。



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