ヴァンパイア兄弟は奪い合いの真っ最中。
おとぎ話みたいな話
___入学式から、3日が経った。
あれ以来、綾永君は何かと気にかけてくれて、郁君も校内で声を掛けてくれる。
少しだけど友達も出来て、順調に過ぎていく時間。
「数学苦手でなんだよね私…数字見てたら気分悪くなっちゃう。」
天ヶ崎学園に入学して初めて出来た友達、明日香ちゃんがぐったり机に項垂れてボヤいた。
「私も苦手…。公式覚えるの大変だよね。」
苦笑いで返事を返すと、ムニッと頬を掴まれ
「お前頭良いだろ!私は公式覚えてもどこに何を当てはめていいやら分かんないの!」
ジト目で私を見つめて、すぐに手を離す。
そんな明日香ちゃんのツッコミに否定をしようとした瞬間、始業のチャイムが鳴った。
「ヤバッ、始まった。」
席が隣の明日香ちゃんは、こちらへ向けていた椅子を正面へ向けて黒板へ視線を移した。
まだ先生は来ていないようで、机の下から教科書を取り出しパラパラと捲ってみる。
難しそうだなぁ……。
思わず溜息が出そうになった時、教室の扉が開いた。
「数学教師の九条だ。皆、静かに授業を聞くように。」
その先生は真っ直ぐに教壇へ向かい、教室全体を見据えて言葉を発した。
えっ…、入学式の日に目が合った…かもしれない先生!?
やはり高身長の先生で、スラリと脚は長い。
教室の女の子達はザワザワとはしゃいでいるようだった。
「何よ、めちゃくちゃイケメンじゃない。
てか、九条ってあの人だったんだね。九条兄弟の長男で天ヶ崎学園の教師って。」
隣に座る明日香ちゃんがコソコソと話しかけてきた。
「え…九条兄弟って?」
「あんた知らないの?天ヶ崎学園の女子の人気を独占するイケメン三人兄弟。隣のクラスの九条 綾永、3年の超人気モデル、九条 郁、そして生徒からの人気圧倒的No.1の九条 忠臣先生。てか、下の2人とやけにあんた仲良いじゃない。目付けられないようにね。」
人事なだけにポンッと肩を叩かれ軽く忠告された。
綾永君と郁君、兄弟だったんだ……。そういえば苗字一緒…。
今更気付いた自分の能天気さに呆れつつ、改めて九条先生を見つめた。
既に授業は始まっていて、黒板に文字を書いている先生。
時折こちらを振り返り授業の内容を説明する先生の顔は真剣で、自分の身も引き締まるようだった。
ノートを取らないと!と黒板の内容を書き写す。
先生は一通りの内容を書くと、書き写すのに3分待つと言って手を止めた。
この間に移し切ろうと必死にペンを走らせる。文章を見るため頭を上げ黒板を見た瞬間、先生がジッと私を見つめていることに気付いた。
今度こそ勘違いとは思えない距離。
その瞳に捕えられたが最後、なかなか逸らせない視線。
時が止まったように思える程その時間を長く感じた。実際は5秒くらいだろう。
「……ッ。」
息を飲んでその時間を耐えた。ふと先生が視線を外すと
「3分経ったな。授業を再開する。」
腕時計を確認して黒板の内容を説明し始めた先生。
慌てて書き写すけど間に合わない。
な、なんか…なんか!私がボーッとしてただけだけど…!なんだか狡い!
そう心の中で不満を吐露しながら受ける授業はあっという間に終わった。
あれ以来、綾永君は何かと気にかけてくれて、郁君も校内で声を掛けてくれる。
少しだけど友達も出来て、順調に過ぎていく時間。
「数学苦手でなんだよね私…数字見てたら気分悪くなっちゃう。」
天ヶ崎学園に入学して初めて出来た友達、明日香ちゃんがぐったり机に項垂れてボヤいた。
「私も苦手…。公式覚えるの大変だよね。」
苦笑いで返事を返すと、ムニッと頬を掴まれ
「お前頭良いだろ!私は公式覚えてもどこに何を当てはめていいやら分かんないの!」
ジト目で私を見つめて、すぐに手を離す。
そんな明日香ちゃんのツッコミに否定をしようとした瞬間、始業のチャイムが鳴った。
「ヤバッ、始まった。」
席が隣の明日香ちゃんは、こちらへ向けていた椅子を正面へ向けて黒板へ視線を移した。
まだ先生は来ていないようで、机の下から教科書を取り出しパラパラと捲ってみる。
難しそうだなぁ……。
思わず溜息が出そうになった時、教室の扉が開いた。
「数学教師の九条だ。皆、静かに授業を聞くように。」
その先生は真っ直ぐに教壇へ向かい、教室全体を見据えて言葉を発した。
えっ…、入学式の日に目が合った…かもしれない先生!?
やはり高身長の先生で、スラリと脚は長い。
教室の女の子達はザワザワとはしゃいでいるようだった。
「何よ、めちゃくちゃイケメンじゃない。
てか、九条ってあの人だったんだね。九条兄弟の長男で天ヶ崎学園の教師って。」
隣に座る明日香ちゃんがコソコソと話しかけてきた。
「え…九条兄弟って?」
「あんた知らないの?天ヶ崎学園の女子の人気を独占するイケメン三人兄弟。隣のクラスの九条 綾永、3年の超人気モデル、九条 郁、そして生徒からの人気圧倒的No.1の九条 忠臣先生。てか、下の2人とやけにあんた仲良いじゃない。目付けられないようにね。」
人事なだけにポンッと肩を叩かれ軽く忠告された。
綾永君と郁君、兄弟だったんだ……。そういえば苗字一緒…。
今更気付いた自分の能天気さに呆れつつ、改めて九条先生を見つめた。
既に授業は始まっていて、黒板に文字を書いている先生。
時折こちらを振り返り授業の内容を説明する先生の顔は真剣で、自分の身も引き締まるようだった。
ノートを取らないと!と黒板の内容を書き写す。
先生は一通りの内容を書くと、書き写すのに3分待つと言って手を止めた。
この間に移し切ろうと必死にペンを走らせる。文章を見るため頭を上げ黒板を見た瞬間、先生がジッと私を見つめていることに気付いた。
今度こそ勘違いとは思えない距離。
その瞳に捕えられたが最後、なかなか逸らせない視線。
時が止まったように思える程その時間を長く感じた。実際は5秒くらいだろう。
「……ッ。」
息を飲んでその時間を耐えた。ふと先生が視線を外すと
「3分経ったな。授業を再開する。」
腕時計を確認して黒板の内容を説明し始めた先生。
慌てて書き写すけど間に合わない。
な、なんか…なんか!私がボーッとしてただけだけど…!なんだか狡い!
そう心の中で不満を吐露しながら受ける授業はあっという間に終わった。