蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~

言葉はなくても、その瞳から心配してくれているのが伝わってきて、胸が熱くなっていく。

私は自然と笑みを浮かべていた。

もう一度頭をさげてから、彼に背を向け、足早に社を出たのだった。



+ + +




「花澄ちゃん! ごめん待たせたね!」


走り寄ってくる水岡先輩の姿を見つけ、私は持っていたスマホをバッグの中へとしまい、先輩へと身体を向けた。


「いえ。大丈夫です。私もさっき着いたばかりですから」


ゆるりと首を横にふると、水岡先輩がほっとした様子で前髪をかきあげた。

しかしその場から動こうとしない私に気付いた途端、気まずそうに表情を強張らせる。


「店の中で待っていてくれても良かったのに」

「いえ。ここで良いです」


答えながら私は背後を振り返り見る。

水岡先輩との待ち合わせ場所になったのは、この前彼と食事をしたレストランだった。

会う約束をしたとき、レストランの中で待っていてと言われたのだけれど、これから話さなくてはいけない内容を思えば、食事をしながらという気持ちにもなれず、私は外で待っていたのだ。


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