蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
「俺の告白を聞いてもぐらつかないほど、花澄ちゃんはあの彼が好きなの?」
心の奥を遠慮なく突くような質問に、緊張感が込み上げてくる。
「……好きです」
中條さんの顔を思い浮かべながら、自分の気持ちを隠すことなく正直に答えた。
「厳しい人としか思っていなかったはずなのに、いつの間にか彼のことを好きになっていました。今の私には誰よりも必要な人です」
「誰よりも必要か。今回のことも、彼に相談したうえで決めた事なんだろ?」
「はい。でも決めたのは私ですから」
お互いが黙り生まれた静けさに飲み込まれてしまいそうで怖くなり、私は大きく息を吸い込んだ。
「ごめんなさい。私、今日はこれで帰ります」
一応話は終わったのだ。気まずい気持ちのまま、お互いいつまでもこの場に居続けても仕方がない。
気持ちに区切りをつけ水岡先輩のそばを離れようとしたけれど、突然聞こえた小さな笑い声に驚き足が止まった。
水岡先輩がなぜか笑い出した。場にそぐわない様子に気味が悪くなる。
「水岡先輩?」
そっと呼びかけると、笑い声がぴたりとやむ。