蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
「確かに、花澄さんが電話をしてきてくれたあの時、女性が隣りにいました。しかし違います。知り合いではありますが、お付き合いはしておりません」
「本当ですか? ものすごく甘えた声で中條さんのことを呼んでいたのが聞こえました。あれで付き合っていないというのなら、彼女とは一体どんな関係なんですか」
「知りたいですか? でしたら、俺を彼氏として受け入れるしかないですね。そうしたら包み隠さずに、花澄さんが知りたいと思うことをいくらでも話して差し上げますよ」
さっき見せた気弱さなどすっかり消え失せ、強気な口調で条件を出してくる。
彼に上手く誘導されてしまったような気がして、つい笑ってしまう。
「中條さんこそ、そんなこと言ってしまっていいんですか? プライベートなこと、あれこれ聞いちゃいますよ?」
「えぇ。望むところです」
笑いが止まらなくて肩を揺らし続ける私を見て、ハンドルを握る中條さんも口元に笑みを浮かべた。
「その馬鹿笑い、了承とみなしますね」
「そこまで言われるほど大笑いしてません……けど、私も望むところです。中條さんも私に聞きたいことありますよね? ちゃんと包み隠さず話しますから、彼氏としてしっかり慰めてくださいね」
「それは大変だ」