視線 ~人生が変わる瞬間~

「待って待って、それ詳しく教えなさい」


 私と優希は舞子の腕を引っ張ってじゃれあった。


 その時だった。


「遅れてすいませーん」


 ダルそうな低い声と重なって、ドアの開閉音。


「…遅いです」


 先生が呆れたようにため息をつきながらそう言った。


「寝坊しました」


 声の主が手で口を押さえてあくびをする。


 私は驚いた。


 夜更かしでもしたのか、目が少しばかり充血していた。


 でも、私が驚いたのはそこじゃない。
< 18 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop