君に会いたくて


我が家には、俺と兄貴、男兄弟しかいない。

女の子を欲しがっていた両親。


うちの押入れにしまっている昔のアルバムには、女の子の格好をした幼い俺の写真が何枚か収められている。



「紗枝ちゃんは私と一緒に寝ましょうね」



おふくろがそう言うと、亮太はひどく残念そうな表情を浮かべた。



当然といえば当然だろう。

年頃の男女を同じ部屋で寝かせるほど、うちの親もバカじゃない。



俺は……。

亮太に同情しながらも、内心ホッとしていた。


< 102 / 157 >

この作品をシェア

pagetop