君に会いたくて
我が家には、俺と兄貴、男兄弟しかいない。
女の子を欲しがっていた両親。
うちの押入れにしまっている昔のアルバムには、女の子の格好をした幼い俺の写真が何枚か収められている。
「紗枝ちゃんは私と一緒に寝ましょうね」
おふくろがそう言うと、亮太はひどく残念そうな表情を浮かべた。
当然といえば当然だろう。
年頃の男女を同じ部屋で寝かせるほど、うちの親もバカじゃない。
俺は……。
亮太に同情しながらも、内心ホッとしていた。