君に会いたくて


風呂上りの紗枝からはシャンプーの匂いが漂う。


初めて見る、三つ編みを解いた髪。


しかも濡れいてるから、余計にドキドキしてしまって、俺は紗枝を真っ直ぐに見ることができなかった。




「今日は、ありがとうね」



亮太が使っていたコントローラーを手で弄びながら、紗枝がぽつりと言う。



「いや、礼なら、俺じゃなくて親に……」


「ははっ。そうだよね」



にこりと笑って俺をまっすぐに見る紗枝。


目が合った瞬間、思わず、俺は目をそらす。


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