君に会いたくて


「なんでって……。とくに意味はないけど……」



紗枝の顔から、笑みが少しずつ消える。

そんな紗枝に、俺はさらに言ったんだ。



「なにもないのに……親友の彼女とメールするって……」



おかしいだろ?

そう締めくくろうとしたけれど、俺は言葉を呑み込んだ。



まるで、紗枝を責めるような口調になってしまいそうだったから。



正当な理由がなくたって。

どうでもいい世間話でもいいから、紗枝とメールしたい。



だけど……。

俺と亮太が親友である以上、そんなことできやしない。


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