君に会いたくて
ぱたりと、静かに部屋のドアを閉めた瞬間。
突然、全身の力が抜けてしまって、俺はその場に座り込んだ。
『あたし、直樹くんが……』
もしかしたら、その続きはなんの意味ももたないものだったかもしれない。
俺の早とちりかもしれない。
――でも……。
紗枝の思いつめたような表情。
理由もなしに、メールしてと言った言葉。
違う、そんなはずがない。
言い聞かせながらも、亮太を裏切る一歩手前まで来ているのかもしれない。
そう思わずにはいられなかった。