君に会いたくて


「朝メシ食う暇なんかねぇし」


「じゃあ、これあげる」


「カロリーメイトかよっ。俺、チョコ味がいいなぁ」


「なに言ってんの? フルーツ味が一番よ!」



――顔が引きつる。

もう無理。限界。


仲の良い二人をバス停に残して、さっさとバスに乗り込む。


二人がいつも座るのは、後部座席の窓側。

まるで二人の指定席と言わんばかりに、その席はいつも空いている。



「おい、直樹。おまえもこっち来いよ」



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