君に会いたくて


しかも、部屋のカーテンを開ければ、外は雪景色。

予定が狂った二人に、それぐらいの時間を与えてやるべきだ。



「……紗枝ちゃん。水、持ってきたよ」



テレビの前に座っている紗枝に、ミネラルウォーターを渡す。


紗枝は一瞬だけ俺を見て、「ありがとう」と言うと、すぐに目をそらした。



「じゃ、十分後に戻ってくるから」



そう言い残して、俺はリビングへと向かった。



クリスマスに賭けていた亮太。


たった十分という制限時間のなかで、キスくらいはするだろう。


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