君に会いたくて
クリスマス前は、紗枝が亮太と……そう思うだけで胸が痛んだのに。
いまは、キスとか、そういうことよりも……。
さっき、俺と紗枝との間に起きたことの方が、俺の胸をしめつけた。
リビングに行くと、親父はスポーツニュースに熱中していて。
おふくろは、キッチンで食器を洗っていた。
「……どうしたの?」
一人でやってきた俺を見て、おふくろは食器を洗う手を休め聞いてくる。
「いや、腹減ったなぁーって思って」
適当な言い訳をする俺に、おふくろは余ったケーキを出した。