君に会いたくて


クリスマス前は、紗枝が亮太と……そう思うだけで胸が痛んだのに。


いまは、キスとか、そういうことよりも……。



さっき、俺と紗枝との間に起きたことの方が、俺の胸をしめつけた。



リビングに行くと、親父はスポーツニュースに熱中していて。

おふくろは、キッチンで食器を洗っていた。



「……どうしたの?」



一人でやってきた俺を見て、おふくろは食器を洗う手を休め聞いてくる。



「いや、腹減ったなぁーって思って」



適当な言い訳をする俺に、おふくろは余ったケーキを出した。


< 112 / 157 >

この作品をシェア

pagetop