君に会いたくて
濡れていた紗枝の髪の毛は乾いていて。
俺が渡したミネラルウォーターのボトルは、すっかり空になっていた。
「お水、ありがとう」
空になったボトルを握る紗枝の小さな右手。
その右手のくすり指に、俺の視線は奪われた。
部屋の灯りに照らされて、キラキラと光るシルバーの指輪。
本物なのかイミテーションなのか、ダイヤのような小さな石がついていた。
「あたし、もう寝るね」
他人の家で迎えたクリスマス。
余韻に浸る暇もなく、紗枝はスッと立ち上がった。