君に会いたくて



紗枝はうつむいたまま、突然、俺の手をキュッと握り締めてきた。




「………」


「………」




そんな紗枝に言葉をかけることすらできなかった。


俺の手を握る紗枝の手には、亮太から貰ったばかりのシルバーリングが輝いている。




一方的に握りしめられた俺の手。
かすかに震えている紗枝の手。



――ごめん……、亮太……。



紗枝の気持ちに応えるように、俺は紗枝の手を握り返した。


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