君に会いたくて


追いかけてきた亮太が、息を切らせながら俺に聞く。



「いや、まだ……」



右に左にと、紗枝を探し続ける俺の視線が、あるところでぴたりと止まった。



救急隊員が運んでいた担架から、だらりと伸びた腕。

その先につづく小さな手の指には、見覚えのある指輪が嵌められていた。




「……紗枝……ちゃん?」




担架の上に横たわっていたのは、酸素マスクをつけられた紗枝だった。




「紗枝……っ!!」



気づいた亮太が、紗枝の名前を叫びながら担架に駆け寄る。


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