君に会いたくて


公園のベンチに座り、会話もなく、ただ無言だった。

公園内で遊んでいる親子連れを、ぼんやりと眺めているだけだった。




朝と比べてほんの少しだけ暖かくなってきた昼前。


沈んでいる亮太に昼飯を買って来ようと立ち上がった時、亮太の携帯が鳴った。




相手は、紗枝のお母さんから。


二人が付き合っていることを知るお母さんが、亮太を気遣って、紗枝が収容された病院を教えてくれた。




「紗枝さんの容体は……」



震える声で聞いた亮太に、お母さんは詳しいことも言わず、「すぐに来て」と答えるだけだったらしい。




< 133 / 157 >

この作品をシェア

pagetop