君に会いたくて
公園のベンチに座り、会話もなく、ただ無言だった。
公園内で遊んでいる親子連れを、ぼんやりと眺めているだけだった。
朝と比べてほんの少しだけ暖かくなってきた昼前。
沈んでいる亮太に昼飯を買って来ようと立ち上がった時、亮太の携帯が鳴った。
相手は、紗枝のお母さんから。
二人が付き合っていることを知るお母さんが、亮太を気遣って、紗枝が収容された病院を教えてくれた。
「紗枝さんの容体は……」
震える声で聞いた亮太に、お母さんは詳しいことも言わず、「すぐに来て」と答えるだけだったらしい。