君に会いたくて


――俺に……会いたい……。




「でも……、紗枝と付き合っているのは亮太くんよね?」




悲しげな目で、お母さんは小さく首を傾げた。



そう、亮太なんだ。


紗枝が付き合っていたのは、亮太。


死の間際に会いたいと言っていた俺は、彼氏の親友なんだ。




「……すみません。知らないです、俺……」




俺は、自分が『直樹くん』であることが言えなかった。



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