君に会いたくて


誰のために作った弁当だったのか、とか。



『あたし、直樹くんが……』



あのとき紗枝は、俺になにを言おうとしていたのか、とか。



そんなことはどうでもよかった。



紗枝がいない。
それが現実――。



紗枝に会いたくて、走って行ったバス停。


紗枝のそばにいたくて、亮太と共にした帰り道のバス。



でももう、すべてが無意味なんだ。


君はもう、いなくなってしまったんだから――。


< 142 / 157 >

この作品をシェア

pagetop