君に会いたくて


「でも、亮太くんと直樹くんは友達だから……。紗枝、自分の気持ちが言えなくて」



静かに吹いた冷たい風が、足元の白い花を揺らした。



自分の気持ちが言えなかったのは俺も同じだった。



紗枝を好きな亮太の気持ちを思うと、言えなかった。

同じ人を好きになったことで、亮太との友情も、幸せも、すべてを壊したくなかった。




「お弁当……もらったでしょう? 紗枝から」


「あっ……あぁ、うん」


「あれもね、直樹くんに作ったのよ?」




――……やっぱりそうだったんだ。


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