君に会いたくて


「……ごめん、俺、ちょっと家に戻る」


「えっ? 直樹くんっ?」



学校から帰ってからでもよかったんだけど……。


どうしても、今すぐ、紗枝からのメッセージを知りたくて。



呆気に取られている亜紀ちゃんを残したまま、家に戻った。



両親そろって共働きしていることが救いだった。

家には誰もいなくて、しんと静まり返っている。



急いで部屋に行くと、引き出しを開け、紗枝からのメモを取り出す。


そのままキッチンに向かうと、俺は慎重にコンロの火を点けた。



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