君に会いたくて
――そして俺は……。
「直樹~、早く行くぞ」
「あぁ、すぐ行く」
大学に入学してすぐ知り合った、同い年の順平に誘われ、バンドをやり始めた。
音楽とは無縁の生活を送ってきた俺。
楽器ができるはずもなく、最初はキッパリと断った。
ボーカル不在だった順平のバンド。
楽器が出来なくても大丈夫だと説得され、渋々やり始めたけれど……。
次第に、唄うことや、バンド活動の楽しさを覚えていったんだ。
メンバーに楽器や作曲の極意なるものを教えてもらってさ。
一年経った頃には、ギターが弾けるようになり、曲を作ることもできるようになっていた。