君に会いたくて
「むこうから言ってきたんだよ」
「なんて?」
「朝、バス停でいつも見ていました。好きです。付き合ってください」
紗枝の言ったセリフを、亮太は棒読みで再現する。
「おまえは紗枝ちゃんのこと知っていたのか?」
「いや? 知らないよ?」
呑気に言いながら、亮太は空になった弁当箱をバッグにしまう。
「知らないのに、付き合い始めたのか?」
「まあな。可愛かったしさ。けど、今は俺、紗枝のことめちゃくちゃ好きだぞ?」