君に会いたくて


――『ずっと見ていました』


どうして、いつも紗枝を見ていた俺じゃなかったんだろう。



時間ぎりぎりでバス停に来る亮太。

紗枝とバス停にいる時間は、俺の方が格段に長いのに。



それなのに紗枝は、俺を通り越して亮太を見ていたんだ。



しかもさ?

亮太は、紗枝の存在なんか知らなかったんだぞ。



俺は……。

じゅうぶんすぎるくらいに、紗枝の存在を知っていたのに……――。



「でもよ、なんで急にそんなこと聞くんだよ」




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