君に会いたくて


――フルーツ味のカロリーメイトが好き。

紗枝のことをひとつずつ知るたびに、頭のなかに記憶されていく。



「藤森ーっ!!」



空になった弁当箱をバッグにしまおうとしたとき。

クラスの女子の集団が俺を呼んだ。



「なにー?」



教室の一番前の席で俺を呼ぶ女子たちに、大きな声で聞き返す。


女子たちは用件を言うこともせず、ニヤニヤしながら「こっちに来い」と手招きした。



「……なんだよあいつら。気持ち悪ぃな」



にやけ顔の女子たちを見て、亮太が眉をひそめる。



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