君に会いたくて
紗枝は亮太の言うことに耳も貸さずに、さらに話を続けた。
「ねぇ、直樹くん。亜紀なんかどう?」
「えぇっ? あたしっ!?」
一緒にいた紗枝の友達、亜紀ちゃんが、素っ頓狂な声をあげる。
それまで黙って話を聞いていたら、突然、自分の名前が出て来たんだ。無理もない。
「亜紀、彼氏ほしいって言っていたじゃない」
「まぁ……、言っていたけど……」
まんざらでもない様子で、亜紀ちゃんは俺を上目遣いでちらりと見た。
「だから紗枝、無理に話を進めるなって。直樹の気持ちも考えろよ」