君に会いたくて
笑う顔。
驚いた顔。
ちょっと怒ったふうに、頬をプクッと膨らませる表情。
いろんな表情を見せる紗枝に対して、恋心を抱き始めるのに時間はかからなかった。
何年生だろう。
名前は?
どこに住んでいるのかな。
彼氏、いるのかな……。
聞きたいことがたくさんあった。
だけど、いきなり声をかけたら……。
俺はただの軽い男だと思われてしまうんじゃないか。
そんなプライドが邪魔して、ただ見ているだけの毎日だった。