君に会いたくて


どうしてかは分からないけどさ。


でも、こんな時にふと思うんだ。

もしも俺が、大人が毛嫌いするような、すっげー悪いヤツだったら……。

こんなアリバイに協力することもなかったのに……って。




「土産買ってくるからさ」


「……土産?」



土産よりも、紗枝をくれよ。


心の中で勝手に呟いた、自虐的な突っ込み。

急に胸が苦しくなる。



「おまえしかいないんだよ、頼めるやつ」


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