君に会いたくて
「あっ、バスきたよっ!?」
バス停に近づく、いつも俺たちが乗っているバス。
「走るよっ!」
紗枝は、動こうとしない俺を見かねて、無理やり手を掴んで走り出した。
寒さでひんやりとした、紗枝の小さな手。
俺の手を掴む、というよりも、指を掴んでいるといったほうが正しい。
小さなことで、いちいち駆られる罪悪感。
もしも、今の俺たちの姿を亮太が見たとしても……。
亮太はおそらく、何とも思わないだろう。